FAQ_2 of ERISCIT3

A1:治療の際に痛みを伴いますか?
免疫細胞の投与には注射が必要になりますので、皮膚や膜を穿刺するときの痛み、局所への注入の場合、注入圧が高い場合は注入時に痛みを伴うことがあります。なるべく痛みが少なくなるよう常に最大限に配慮しております。

A2:どのような合併症や副作用がありますか?
トモセラピーやレントゲンの被爆量は微量で放射線による副作用の心配はほとんどありません。 免疫細胞の局所注入の合併症は、局所からの出血、気胸(肺のまわりに空気が入り肺がしぼんでしまう状態)、穿刺部の感染などがあります。いずれも発生率はわずかですが、合併症については細心の注意を払っています。危険度の高い手技の場合は注入後しばらく経過を見せていただき、再度CTにて合併症を確認させていただきます。動脈注入の合併症は、穿刺した動脈からの出血です。穿刺後は当院閉院時間まで経過を見せていただき、最終的な全身や局所の状態を確認後、離院していただきます。

A3:外来で治療は可能ですか?
(免疫療法中)
細胞注入後、当院にて休んでいただき、数時間全身状態に変化がないことを確認します。治療方法によっては念のため一晩、併設または近隣のホテルに宿泊していただくこともあります。稀に合併症が生じた場合は提携病院または関連病院に入院の手続きを取らせていただくことがあります。
(放射線治療中)
放射線治療は最小侵襲治療であり、外来治療が可能です。また、遠方にお住まいで通院が困難な患者様は別途ご相談下さい。

A4:放射線治療とはどのようなものですか?
医療の分野で用いられる放射線にはX線、電子線、粒子線および各種放射性同位元素を用いた治療があります。一般に体外から放射線をかける方法が外照射といわれ、最も侵襲が低いといわれています。皆さんがCTやX線診断を受けるときに用いられるのもX線ですが、治療に用いられるX線は診断の時より1桁以上高いエネルギーを用います。放射線治療を受けたがん病変は線量に応じ確率的に細胞数を減らしていきます。

A5:放射線を浴びるとがんになると聞きました。なぜがんに放射線治療を行うのでしょう?
がん細胞も正常細胞も放射線を浴びたことによる傷のでき方は同じです。しかし正常細胞ではこの傷を修復する機構が整備されているのに対し、がん細胞では機構がうまく働かないことがわかっています。正常細胞が放射線を浴びて発がんするのはこの機構から逸脱した場合であり、その頻度は極めて低く被曝から25年以降であることが一般的です。

A6:強度変調照射は今までの放射線治療と何が違いますか?
強度変調照射法は病変の形になるべく一致させる高線量域を作成するために開発された方法で、不必要な正常組織の被曝を抑え一層安全な放射線治療が実現できるようになりました。今までの放射線治療は照射野といわれるがん病変を含む2次元的平面に均等な線量を投与することが前提となっていました。そのため、がん病変の前後の正常組織にも被曝していました。その後、技術の進歩に伴いがん病変に集中して線量を投与する3D-CRT(3次元集光照射法)による定位照射が可能となってきましたが、凹んだ形の病変に合わせた高線量域を作るための更なる技術革新として強度変調照射法が登場しました。

A7:トモセラピーは他の強度変調照射用治療装置と何が違いますか?
トモセラピーの大きな特徴はIGIMRT(画像ガイド下強度変調照射)が容易に実現できることです。通常型治療装置を用いた強度変調照射では、数十通りの照射野を組み合わせて望ましい線量分布を作成していきますが、トモセラピーではらせん状に回転する線源からの微小照射野を高速度に制御して不必要な被曝を最大限遮蔽できる構造となっています。三次元CT画像同士の照合をリアルタイムに行うことにより高い精度の位置確認が可能です。さらに唯一トモセラピーでないと事実上治療不可能な病態があります。がん病変が全身に複数箇所存在する場合です。トモセラピーでは身体の周辺をらせん状に線源が移動していくことにより、複数箇所存在するがん病変に対しても高線量域を逐次一致させていくことが可能です(この治療法を発展型画像誘導強度変調照射法[ SCHMITT: sequential CT-based homing system for modulated-intensity-tailored treatment ] といいます)が、他の装置ではこのような病変に対する治療は極めて複雑かつ時間がかかるため、事実上治療不可能といわざるをえません。医療技術上の課題だけでなく患者側からみても現実的でないことは、硬い治療寝台で数十時間も全く動かないでいることを想像してみればわかると思います。

A8:治療の結果はどういう方法で調べますか?
評価方法は、画像、腫瘍マーカー、免疫の活性度評価の3種類があります。治療前に評価したのと同じ方法で比較するのが理想的です。良く用いる画像評価はPET-CTや造影CTが中心となりますが、MRI、エコーを使う場合もあります。腫瘍マーカーと免疫活性は血液検査になります。