- A6:強度変調照射は今までの放射線治療と何が違いますか?
- 強度変調照射法は病変の形になるべく一致させる高線量域を作成するために開発された方法で、不必要な正常組織の被曝を抑え一層安全な放射線治療が実現できるようになりました。今までの放射線治療は照射野といわれるがん病変を含む2次元的平面に均等な線量を投与することが前提となっていました。そのため、がん病変の前後の正常組織にも被曝していました。その後、技術の進歩に伴いがん病変に集中して線量を投与する3D-CRT(3次元集光照射法)による定位照射が可能となってきましたが、凹んだ形の病変に合わせた高線量域を作るための更なる技術革新として強度変調照射法が登場しました。
- A7:トモセラピーは他の強度変調照射用治療装置と何が違いますか?
- トモセラピーの大きな特徴はIGIMRT(画像ガイド下強度変調照射)が容易に実現できることです。通常型治療装置を用いた強度変調照射では、数十通りの照射野を組み合わせて望ましい線量分布を作成していきますが、トモセラピーではらせん状に回転する線源からの微小照射野を高速度に制御して不必要な被曝を最大限遮蔽できる構造となっています。三次元CT画像同士の照合をリアルタイムに行うことにより高い精度の位置確認が可能です。さらに唯一トモセラピーでないと事実上治療不可能な病態があります。がん病変が全身に複数箇所存在する場合です。トモセラピーでは身体の周辺をらせん状に線源が移動していくことにより、複数箇所存在するがん病変に対しても高線量域を逐次一致させていくことが可能です(この治療法を発展型画像誘導強度変調照射法[ SCHMITT: sequential CT-based homing system for modulated-intensity-tailored treatment ] といいます)が、他の装置ではこのような病変に対する治療は極めて複雑かつ時間がかかるため、事実上治療不可能といわざるをえません。医療技術上の課題だけでなく患者側からみても現実的でないことは、硬い治療寝台で数十時間も全く動かないでいることを想像してみればわかると思います。